神々の時代: 日本の創世記

はじめに

日本の神代時代は、国の成立と文化の基盤を築いた神々と英雄の物語で満ちています。

このブログでは、神話から受け継がれる古代の知恵とその時代の謎に迫ります。

私たちの旅を通じて、神々の足跡を辿り、日本の土地がどのようにしてその形を成したか、また、これらの物語が現代の日本人の生活や文化にどのように影響を与えているかを探求します。

 

 

     天地開闢(天地開闢)

 

天地開闢(てんちかいびゃく)は、日本神話における宇宙の始まりを語る物語であり、混沌(カオス)から秩序が生まれ、世界が創造された過程を描いています。

この物語は、日本の古代文献『古事記』と『日本書紀』に記されており、日本の創世神話の核心をなすエピソードです。

 

### 混沌からの始まり


物語は、初めに宇宙が形のない混沌としていた状態から始まります。

この無限に広がる空虚の中に、最初の神々が自然発生的に現れました。

これらの神々は、前述のアメノミタカヌシ(天之御中主神)、タカミムスビ高御産巣日神)、カミムスビ神産巣日神)の三柱で、彼らは造化三神として宇宙の創造に関わる最も高位の存在とされています。

 

### 天地の分離


造化三神に続き、様々な神々が次々と現れ、天地の分離が始まります。

天が軽い物質で上昇し、重い物質が下降して地となりました。この過程で、最初に現れた固定した地点が「高天原」と呼ばれ、神々の居住地となります。

 

### 伊邪那岐伊邪那美神の国生み


天地が分離した後、神々の中から伊邪那岐(いざなぎ)と伊邪那美(いざなみ)が選ばれ、新たな国を生み出す任務を与えられます。

この二柱の神は、天の浮橋(あめのうきはし)に立ち、天の矛(あめのほこ)を使って原始の海をかき混ぜました。矛から滴り落ちた塩の粒が最初の島、オノゴロ島を形成しました。

伊邪那岐伊邪那美はオノゴロ島に降り立ち、国生みの儀式を行います。彼らは一緒に柱を回りながら、さらに多くの島々を生み出しました。この過程で、多数の神々も生まれ、それぞれが自然界のさまざまな側面を司るようになります。

 

### 多くの神々の誕生


国生みの過程で、伊邪那岐伊邪那美からは、多くの自然現象や地形を司る神々が生まれました。彼らは山、海、川、木々、風、そして火など、日本列島の豊かな自然を形作る神々です。

特に注目すべきは、火の神であるカグツチ軻遇突智)の誕生です。カグツチの誕生は伊邪那美の死をもたらし、それが原因で多くの新たな神々が生まれるきっかけとなりました。

伊邪那岐は、伊邪那美を追って黄泉の国に下り、そこでの経験が、後の神話における重要な展開を引き起こします。

伊邪那岐が黄泉の国で伊邪那美に再会した際、彼女は既に黄泉の国の者となっていました。伊邪那岐伊邪那美を連れ戻そうとしますが、彼女は黄泉の国の食べ物を食べてしまったために戻ることができませんでした。

伊邪那岐は黄泉の国から逃れ、帰路につきますが、その過程でさまざまな神々や現象が生まれました。

伊邪那岐が自身を清めるために行った禊(みそぎ)の際には、さらに多くの神々が生まれました。特に、左目を洗った時に生まれたのが太陽神アマテラス、右目からは月読命ツクヨミ)、鼻からは須佐之男命(スサノオ)が生まれました。これら三柱の神は特に重要で、日本神話の中でも特に有名であり、後の物語において重要な役割を果たします。

 

### 三貴子と日本列島の統治


アマテラスは太陽を、月読命は月を、須佐之男命は海と嵐を司る神とされ、これら三柱の神は「三貴子」と呼ばれます。

アマテラスは高天原の統治を任され、日本列島の豊かさと平和を保つ役割を担います。アマテラスの孫である瓊瓊杵尊ニニギノミコト)が天孫降臨し、日本列島の統治を開始することで、神々の時代から人間の時代へと移り変わることになります。

 

### 天地開闢の意義


天地開闢の物語は、混沌から秩序が生まれ、世界が形成される過程を象徴的に描いています。この物語は、自然現象や地形、さまざまな要素が神々の意志によって生み出されたという神話的世界観を示しています。また、伊邪那岐伊邪那美の国生み、そして三貴子の誕生は、日本の自然や文化、社会の基盤を形成する重要な要素であり、日本人のアイデンティティや価値観に深く根ざした物語となっています。

このように、天地開闢は日本神話における宇宙の創造と秩序の確立を語る重要な章であり、日本の文化や伝統に対する理解を深める上で不可欠なエピソードです。

 

明日からしばらく日本の神様について書いていきます。